施設整備・建築設計
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在宅専門の医療機関が移転を検討されています。その際、賃貸物件に入居することになりますが、入居の際に何か注意しておくべきことがあればお教えください。
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賃貸物件に入居する際の医療機関特有の注意点のみを説明します。
1.保険医療機関の遡及指定に関する注意点
保険医療機関が至近の距離(原則2km以内)に移転し、同日付で新旧医療機関を開設、廃止した場合で、患者が引き続き診療を受けている場合は、例外的に指定期日を遡及して保険医療機関の指定を受けることができます。地図に半径2kmの円と道のりを明記して、事前相談をしなければなりません。微妙な距離の場合は、地方厚生局都道府県事務所の担当官の指導を仰ぎます。保険医療機関指定申請書の提出と同時に施設基準の届出も必要です。
保険医療機関指定通知書が移転先医療機関に届いた後の、国保連合会と支払基金に届け出る保険医療機関届や公費医療機関指定申請書等の手続きは、新規開設と同じです。2.医療法人の場合の注意点
保健所と協議の上で定款変更認可申請、移転先医療機関の開設許可申請と開設届、移転前医療機関の廃止届の一連の手続きが必要です。地方厚生局都道府県事務所の事前相談と並行して保健所との事前相談が必要です。
医療法人の理事の親族(3親等以内)が所有または経営する賃貸物件に入居する場合は、賃貸借契約締結の承認の理事会開催と、承認を決議した旨の議事録が必要です。3.処方箋の取り扱いについて
施設移転後の保険医療機関コードは新たに付与されます。その月の1日から移転先医療機関で保険診療を開始する場合は、直後の医療協議会の審議を経て保険医療機関の指定がなされ、保険医療機関コードが付与されます。保険診療開始日から保険医療機関コードが付与される日までの間について、処方箋の「医療機関コード」の欄の記入文言を、地方厚生局都道府県事務所または国保連合会や支払基金にご確認ください。
また、月の途中から移転先医療機関で保険診療を開始する場合は、移転後の処方箋の「医療機関コード」欄の記載について上記と同様に地方厚生局または支払機関に確認します。4.保険請求について
保険医療機関コードが変わりますので、その月の1日から移転先医療機関で診療を開始する場合は、新たな保険医療機関コードで請求します。月の途中から移転先医療機関で診療を開始する場合は、その月のレセプトは移転前の保険医療機関と移転後の保険医療機関とを別々に作成して請求します。電子カルテやレセコンのメーカーに事前に相談し、指導を仰ぎます。
いずれの場合も、移転前の医療機関のレセプトの過誤等について、移転後の医療機関のレセプトから加除する旨の書類が郵送されますので、その書類に記名押印して提出した方が事務的に負担は少ないです。回答日【2019.11.5】