増収・経費削減
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クリニックの薬剤部門の収支に関する質問2点です。
(1)あるクリニックでは、処方箋件数の約7割が院内処方で約3割が院外処方です。この3割の院外処方を、もし院内処方に切り替えるとすると、院外処方分の処方箋料が68点(多剤の場合は40点)から42点(多剤の場合は29点)に下がるので、新たに院内で調剤する調剤料の収入が増えたとしても、合計では減収になると考えますが、正しいでしょうか?
(2)院内処方中心のクリニックにおいて、薬剤部門の収支を向上するアイデアとしてはどのようなことが考えられるでしょうか? -
(1)院内処方中心のクリニックですべての処方を院内にした場合の収支
ご指摘のとおり、投薬にかかる診療報酬だけをみると院内処方の方が高いため、すべてを院内にしてしまうとその部分は確実に売上が下がります。ただし、クリニックとはいえ薬価差益があると思いますので、それと相殺される分を考慮する必要があります。
また、どのような領域の薬剤を採用しているかにもよりますが、取扱品目が増えることによる在庫管理の手間、在庫を置くスペース、不良在庫のリスクなどを考えると、診療報酬以外の部分でもマイナス要因が多いことが考えられます。(2)院内処方中心のクリニックで薬剤部門の収支を向上するアイデア
クリニックの背景がわかりませんが、医薬分業率も後発医薬品の使用割合も8割近い現状では決定打はありません。後発医薬品使用体制加算を積極的に算定することが考えられますが、今後の診療報酬改定では後発医薬品への誘導策はどうなるかが不透明です。
院内処方の最大のメリットは収益よりも患者満足度の向上により、患者離れを防ぐことが一番ではないかと思います。半面、院外処方の方が一般名処方加算もありますし、今まで調剤室だった場所の使い道が広がるため、患者アメニティに使えば患者満足度にも寄与します。
小職は300床規模の病院で院内処方から院外処方への転換シミュレーションをした経験がありますが、そこでは院内の方が収支はよいという結論でしたが、その最大の要因は薬価差益でした。まずは薬価差益を計算し、手放してもいいものかどうかを踏まえた上で検討することが必要かと思います。回答日【2021.7.7】