法人運営

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医療法人Aは平成17年に特定医療法人の承認を得ました。その後Aは、特定医療法人として事業活動を続け毎年1億円以上の所得を上げてきました。このたび、最近の法人税率の低下や役員報酬の規制の厳しさを理由に承認の返上を検討しています。
国税庁のFAQによると、承認要件を満たさなくなると承認が取り消されるとあります。仮に今期中に役員構成の同族関係者の制限など要件を満たさなくなった場合、今期の法人税の申告から一般の法人税率による申告を行えば、他にペナルティはないでしょうか。
また、Aの出資持分は特定医療法人の承認時に放棄しておりますが、承認が取り消された場合、出資持分は復活するのでしょうか。もし復活するとしたら、その帰属はどのようになるのでしょうか。
承認時においてはAの出資者は先代の甲でしたが、その後甲は亡くなりました。現在は甲の2人いる子どものうち、長男が理事長を務めています。Aは承認時においては、旧法の持分あり医療法人ですが、承認取消後は医療法人としては、現行の一般的な持分なし医療法人に戻ると考えてよろしいでしょうか。

特定医療法人については、2003(平成15)年度税制改正で、承認を受けた後、取りやめの届出ができることとなりました(租税特別措置法第67の2第5項)。

◯租税特別措置法
(特定の医療法人の法人税率の特例)
第六十七条の二
(略)
5 第二項及び第三項に定めるもののほか、第一項の承認を受けた法人が、当該承認を受けた後に終了した各事業年度の所得について、同項の規定の適用を受けることをやめようとする場合の手続その他同項及び前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

◯租税特別措置法施行令
(特定の医療法人の法人税率の特例)
第三十九条の二十五
(略)
6 法第六十七条の二第一項の承認を受けた医療法人は、当該承認に係る税率の適用をやめようとする場合には、その旨その他財務省令で定める事項を記載した届出書を、納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出しなければならない。この場合において、その届出書の提出があつたときは、その提出の日以後に終了する各事業年度の所得については、その承認は、その効力を失うものとする。

承認要件を満たさないために特定医療法人を取りやめた場合には、その期から一般の法人税率による申告を行うことになりますが、他のペナルティはないと思います。
出資持分は復活しません。
承認取消後は、一般的な持分の定めのない社団医療法人となります。

(参考)厚生労働省ウェブサイト「特定医療法人制度について

回答日【2019.10.3】

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