法人運営
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当社クライアント自治体のAは、公立病院を指定管理方式(利用料金制)で運営しており、今般、建替え計画が進行しています。新病院整備費用の負担については、自治体と指定管理者間で協議中ですが、いずれにせよ、自治体も応分の負担を担うとしています。
当該自治体の病院事業(特別会計)は、利用料金制(診療報酬は指定管理者が直接受領する方式)の指定管理方式のため、特別会計における売上額は実質ゼロで「非課税事業者」となっています。しかし施設整備に伴い多額の消費税支出が想定されるため、「課税事業者選択届」を提出して還付を受けることを企図していますが、収入がゼロでも「消費税課税事業者選択届出書」を提示することができるのでしょうか? -
当該公立病院が指定管理方式によるものの、病院が会計主体として消費税の納税義務者であることを前提として回答いたします。
消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。この納税の義務が免除される事業者(以下「免税事業者」)となるか否かを判定する基準期間における課税売上高は、法人の場合、原則として前々事業年度の課税売上高のことをいいます。
なお、基準期間において免税事業者であった場合には、その基準期間中の課税売上高には消費税が含まれていませんから、基準期間における課税売上高を計算する時には税抜きの処理は行いません。課税事業者となるためには、納税地を所轄する税務署長に「消費税課税事業者選択届出書」を提出することが必要です。
この届出書は原則として、適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに提出することが必要で、この届出書を提出した事業者は、事業廃止の場合を除き、原則として、課税選択によって納税義務者となった最初の課税期間を含めた2年間は免税事業者に戻ることはできません。このような規定上、原則として「消費税課税事業者選択届出書」を提出できると思います。ただし、施設整備は公設だと思われますが不明確で、このようなケースは極めて稀であり、処理の通達等もないと思われますので、顧問税理士を通じて所轄税務署長に「税務上の取り扱い等に関する事前照会書」を資料とともに提出し、担当官と事前協議することをおすすめします。
回答日【2013.10.28】