事業承継・持分なし移行

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一般の持分あり医療法人から社会医療法人への移行手順を教えてください。特に出資持分の放棄のタイミングを教えてください。社会医療法人の認定がされる前に放棄をすると法人に贈与税が課税される可能性が生じます。社会医療法人の認定された時をもって持分を放棄するような停止条件付持分放棄は可能でしょうか。
また、社員の同族要件をクリアするため退社が必要な社員について、社会医療法人の認定された時をもって退社する停止条件付は可能ですか。ただ、この場合、退社を予定している社員と、社会医療法人の本来の社員が混在することになり矛盾が生じることになると思われます。

出資者全員が出資持分を放棄した場合には、相続税法第66条第4項により、その出資持分の放棄に伴う受贈益は、それを受けた医療法人を個人とみなして、その法人に「みなし贈与税」の課税がなされます。ちなみに相続税法施行令第33条第3項などの規定を充足していれば「相続財産の不当な減少がなかった」ものとして、みなし贈与税の課税はなされません。その受贈益の計算は、その年の1月1日から12月31日の贈与を受けた金額で贈与税が計算されます。
社会医療法人への移行は、認定(希望)日から逆算して申請時期を検討すべきであり、都道府県担当官(以下「担当官」)と緊密な事前協議(事前審査、本申請、実地調査および医療審議会の日程等の確認)を踏まえて移行スケジュールを策定、理事会および社員総会で決議(議案:社会医療法人への移行、定款変更、出資持分放棄、役員改選、社員の入退社等)することとなります。
ただし、MS法人との関係整理や特別利益供与の是正が遅れる場合等で、担当官の了承が得られないことや、医療審議会の日程変更などにより申請(認定)時期が遅れることも考えられます。出資持分放棄は、贈与税が課されるリスクがあるため、その時期は慎重に検討すべきであり、一般的に担当官からも(社会認定時に効力が発生する)停止条件付の出資持分放棄同意書の提出が求められます(本申請前の事前審査で書類チェックあり)。
また、同族要件をクリアするために同族社員が退社した場合、それが出資社員であれば、退社払い戻しまたは放棄が認定前に確定することとなるため、停止条件付の退社届を提出し、退社も社会医療法人認定時とします。いずれも可能と思われますが、担当官との事前協議でしっかり詰めてください。社会医療法人の認定申請書類の中には、たとえば「(書類付表1)理事、監事及び社員に関する明細表」等、社員について記載する箇所がいくつかありますが、今回のケース(認定時に非同族化)の場合は、申請時の構成(同族)ではなく、認定時の構成(非同族)を記載して申請することとなるでしょう。

回答日【2016.10.5】

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