人事管理
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歯科衛生士の人事評価方法について教えてください。
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1.歯科衛生士の業務内容
多くの歯科医院で歯科衛生士の人事評価にとまどいを持っています。 学卒間もない歯科衛生士から10年選手まで、 さまざまな能力レベルの歯科衛生士がおり、経験年数や能力、 受けた研修や教育によって担当できる職務内容が異なります。 ところが現場では一律に評価をしがちです。 例えば、新人歯科衛生士が学卒としては標準的な知識と能力があっても、 ベテランと比較されて「歯ブラシ指導もダメ」、 「対合の印象もとれない」「スケーリングに何時間かけてるの?」 など厳しい評価をされることが多いようです。 失敗続きで落ち込む日が続くと、突然「退職願」がでてくることにもなりかねません。 このため、歯科衛生士を経験年数や能力で区分して、公平に評価する必要があるのです。
2.絶対評価と相対評価
人事評価には「絶対評価」と 「相対評価」という考え方があります。 例えば、中学3年生と小学校3年生の子供が幅跳びをします。 中3のC君は1m50?とびました。小3の子は80?しか飛べませんでした。 中3の子と小3の子のどちらのほうが頑張ったのでしょうか。実は、これでは比較できません。 例えば、中3の全国平均が1m70?なら、C君は普通より飛べていないし、 小3の全国平均が70?なら、この子は普通より飛べていることが分かるのです。 このように、その従業員の能力を初級、中級、 上級のようにランク分けをして標準的な基準を設けて評価することを 「絶対評価」といいます。 次に、中3の距離を測るとき、A君が1m80?、B君が1m70?、C君が1m50?となって、 初めてだれがもっともよく飛べたのかを比較できます。 これを「相対評価」といいます。 つまり、人事評価は「絶対評価」と 「相対評価」を組み合わせて行う必要があるのです。 歯科衛生士でも、経験年数や能力に合わせて目標となる基準を設定し、 その状況を見ながら育成・指導していく必要があるのです。
3.能力別に管理するには
多くの企業では分析的評価を採用しています。 それは、「情意評価」、「能力評価」、「業績評価」の3つにわけ、細かな指標を設定しています。 その際、職員を「上級」、「中級」、「初級」などの等級に位置付け、 具体的にその等級に求められる評価指標を設定するのです。 「情意評価」は、やる気や勤務態度を評価する指標です。 「能力評価」は業務遂行に際して、必要な能力を保持しているかどうかを評価します。 「業績評価」は、医院への総合的な貢献度を判定します。 歯科衛生士の能力を「知識面」「技術面」「コミュニケーション面」に分け、 これを初級、中級、上級それぞれ具体的に提示します。 サンプルとして、当社で採用している歯科衛生士の能力目標から、 初級、中級、上級の、「知識面で求めるレベル」の考え方をご紹介しましょう。 このように、具体的な項目に展開して評価票を設計するのです。
(例)知識面で求めるレベル
初級 基本的な歯科医療に関する知識と自医院に関する知識が目標です。 う蝕や歯周病についての知識、歯科衛生士業務についての基本的な知識、 医院の経営理念や目標値などを知っているなどです。 中級 現場の中核衛生士として必要な知識の習得が目標です。 例えば、う蝕や歯周病など口腔内の異常や病状発見のための知識、 基本的なレントゲンの読影、インプラントや補綴、診療報酬、 自費治療の内容や価格などの知識習得です。 上級 ベテラン歯科衛生士として、高度で専門的な医療知識、リーダーとして求められる知識です。 歯科医療についての広範な知識、症状やトラブルへの対処法、 管理職の心得や、保険診療報酬の知識習得などが目標です。