会計・節税対策(キャッシュフロー経営)
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月次損益の管理は現金主義と発生主義のどちらがよいでしょう。
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毎月の正確な医業収支を確認することは歯科医院にとっても重要です。
設備投資や税金対策、キャッシュフローなどを考えるためにも、 月次損益もできるだけ 発生主義で収入を計上することが重要です。1.現金主義と発生主義
会計の処理の方法に 現金主義と 発生主義の2通りの方法があります。 現金主義とは実際に振り込まれた金額を収入として計上する方法です。 発生主義とはその月に診療し、レセプト請求した金額を収入として計上する方法です。2.収入について
社会保険診療収入については発生主義で計上します。 自費診療収入については、通常、 月次損益は 現金主義でとらえる場合が多いですが、 真実の月次損益をとらえる場合は 発生主義でとらえたいものです。 その場合、自費診療について、 収入計上時期は一般的には「役務の提供を完了した日」とされており、 補綴物等の場合はそれを装着した日ということになります。 ただし、矯正については次のような事例がありますので注意が必要です。国税庁質疑応答事例
【照会要旨】
歯列矯正には通常数年の治療期間を必要としますが、 歯科医師が歯列矯正治療を行う場合には、矯正装置の代金及び装着料のほか、 その矯正治療の全期間を通ずる基本料金としての性質を有する報酬(以下「基本料」といいます。)を、 治療の開始当初において患者に請求し、一括受領している事例が少なくありません。
基本料及び矯正料(以下「基本料等」といいます。) については、その収入計上時期についてどのように取り扱うべきですか。【回答要旨】
基本料等の収入計上時期については、歯科医師と患者の契約の実態に応じ、次のとおりとなります。
(1) 矯正装置の装着など一定の役務の提供を行った時に基本料等の全額について請求し受領することしている場合には、 基本料等の全額についてその一定の役務の提供を了した日の収入金額とします。
(2) 期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて、 所定の基本料等を請求し受領することとしている場合には、 その期間が経過した日又はその役務の提供を了した日の収入金額とします。
(3)(1)及び(2)以外の場合はそれぞれ次によります。1) 支払日が定められている場合には、その支払日とします。
2) 支払日が定められていない場合には、 その支払を受けた日(請求があった時に支払うべきものとされている場合には、その請求の日)とします。
3) ただし、?及び?のうち、支払日が矯正治療を完了した日後とされているものについては、 矯正治療を完了した日とします。3.経費について
収入については 現金主義と 発生主義について触れましたが、経費についても同じことが言えます。
水道光熱費や電話代などの一般管理費については大きな変動はないので 発生主義でも 現金主義でも月次収支に大きな影響はありません。 しかし、薬品仕入・材料仕入や技工委託については収入の多い月は当然、 仕入れも多くなるはずです。 これも現金主義で支払をした月の計上にしていると、 月次の収支が大きく乱れてしまい、 その月が本当に利益が出ているのか赤字だったのかがわからなくなってしまいます。 したがって、薬品材料仕入、技工委託などの経費や年払いの金額の多い経費は 発生主義で計上するようにしたいものです。この様に収入、経費共にその月の診療分、 技工料・材料代で計算できていれば各月の正しい利益が把握できます。 それが適切なコスト管理にもつながりますし、確定申告書を提出する時に、 今年は利益が少な目だと思っていたのに、追加税額が大幅に増加してしまい「そんな事なら、 購入したかったものがあったのに」という不満も避けられます。