会計・節税対策(キャッシュフロー経営)
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節税対策と内部留保の意義と仕方について教えてください。
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1.節税と資金流出
節税対策として高額な医療器機や外車等を購入したり、 保険に加入したりということがあります。 医療器機は長期的な事業計画に基づいて購入しているのであれば問題ありませんが、 納税したくないという目的で購入しているようなケースがあります。
しかしこれでは納税額を多少減らせても、 医療法人の資金は確実に減っているので本末転倒と言えます。
それ以外の節税対策も、 確かに一時的には納税額が減るという効果があるものがありますが、 節税対策は、ただ課税を繰り延べるだけのものがあります。
また、医療器機の購入のように資金流出を伴うものは、 結果として医療法人の自己資金は減ります。2.内部留保の重要性
特にこれからの厳しい時代は、 税金を支払って内部留保 することが実は重要であることをしっかり伝えていかなければならないといえるでしょう。
特に次のような点について注意する必要があります。
(1)近い将来設備投資をする予定があれば、自己資金として蓄えておく。
(2)現在ある借入金、自動車ローン、リース等の繰上返済をしていく。
税金は医療法人の場合、社会保険診療報酬に対する事業税も非課税でもあり、 税率は高くとも40%程度ですから、 60%は自己資金として残せることを認識することが必要だと思います。3.優良企業は内部留保が多い
松下幸之助氏は会社を経営する際、 ダムをつくることで川がいつも一定の水量で流れているように、 「ダムの蓄え」を持って事業を進めていかなければならないと説かれました。
また稲盛和夫氏は「土俵の真ん中で相撲をとる」ということを言われています。 土俵際ではなく、まだ余裕のある土俵の真ん中で相撲をとるようにする、 という意味です、「常にお金のことについて心配しなくても、 安心して仕事ができるようにすべきだ」ということです。 そのような強い思いが、京セラを早い時期より無借金経営に導いたと言われています。
世の中の経営者には銀行から借金して、 事業を急速に拡大していく方が良いと考えられる方がおられます。 しかし、貸し渋り問題を見てもわかるように銀行は「天気の良い日には傘を貸すが、 雨が降れば傘は取り上げる」といわれている。 酷な話に思えますが、 お金を貸して取りはぐれたのでは銀行の経営が成り立たないので、 雨が降ったら借りた傘は取り上げられるというのは当たり前と考え、 どんなときでも自分の力で雨に濡れないようにしておかねばなりません。