リーダーシップ

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院長にリーダーシップを発揮させるためのポイントを教えてください。

スティーブンス P. ロビンズは、「リーダーシップとは、 集団に目標達成を促すよう影響を与える能力である」と定義しています。 一般的な成書においては、「集団の目標を達成するためにリーダーが集団成員の自発的に協力を引き出し、 集団に貢献させる機能あるいは、影響を与える過程」であるといわれています。 つまり、歯科医院の目標を達成するために、院長が従業員全員に対し、 自発的に協力しようとする気持ち、 エネルギーを引き出し従業員全員に勤務している歯科医院に 貢献させる機能あるいは影響を与えるプロセスと考えられます。 そのためには、従業員との人間関係を大事にする一方、 仕事中心の体制づくりに力を入れる必要があります。 このことは、従来から仕事中心のリーダーシップと人間中心の リーダーシップの2つの役割を統合する リーダーシップが生産性を上げるためには 一番良いリーダーシップといわれていることからも理解できます。

そこで、院長にリーダーシップを発揮させるためには次の事をやっていただくことが良いと思われます。 つまり、歯科医院の成功している院長のリーダーシップを観察する、 話しを聞く事や何かの組織、例えば歯科医師会や同窓会等に所属している場合には、 その中で先輩方のリーダーシップ発揮の仕方を観察しながら学習する方法があります。 積極的な方法としては、 リーダーシップ 強化プログラムを実施しているセミナーに参加するのも一つの方法と思います。

ここで、オハイオ州立大のリーダーシップ研究及び動機づけの期待論から 主な要素を抽出してできているパス・ゴール理論を紹介するので、 参考にしていただきたいと思います。

これは、リーダーの支配権(環境的条件即応要因)と、 部下の個人的特徴(部下の条件即応用件)の2種類の条件適合変数によって、 リーダーシップの結果(業績、満足度)が変わるという理論です。

この理論を歯科診療所で適応すると次のようなことがいえます。 歯科診療所の目的を達成するために、従業員の質の向上と、 やる気を引き出す動機づけは院長の日々の職務といえます。

そのためには、指示をしたり(指示型)、支援をしたり(支援型)、 種々の決定を下す前に従業員に相談したり、 従業員の提案を活用したりする(参加型)、また、 少しハードルの高い仕事を時として与え、全力を尽くすように求めることもあります(達成志向型)。
このように、院長は、いろいろな場面で 従業員に援助の手を差し伸べていると考えると、 パス・ゴール理論は、歯科診療所でも適用可能なものと判断されます。

但し、前述した理論と異なり、どのようなリーダーシップを採用した時に 組織有効性があがるのかについては、7つの仮説が設定されており、 その内、高業績をもたらす仮説は次の2つとなっています。 1.支援型リーダーシップは 従業員 が明確化されたタスクを遂行している時、高業績と高い満足度をもたらす。 2.達成志向型リーダーシップはタスクの構築があいまいな時に、 努力すれば高業績につながるという従業員の期待を増す。となっています。

このように、パス・ゴール理論は、 環境的条件と部下の条件に即応した要因に対して適切なリーダー行動や リーダーシップが業績を上げ、 従業員満足度も高くなるというのが基本的な考え方です。 また、この理論では、リーダーシップを発揮するタイミングを問題視しています。

つまり、この理論において、リーダーの行動として、指示型、支援型、 参加型、達成志向型の4つの型のリーダーシップを発揮するタイミングの重要性が示されています。

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