介護・障害福祉

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現在、老人保健施設を運営している医療法人があります。この医療法人は地方にあり、利用者は早期に退所させられることに不満を持っています(一人住まいの高齢者が多いため、施設に入所していたいというニーズが強くあります)。
そこで、介護医療院の創設を機に、老人保健施設から介護医療院への機能転換を検討しています。この転換において注意するところはありますか? メリット・デメリットとは?そもそもこのような転換が想定されているのかどうか、想定されていないとしたら、その理由をご教授いただきたいと思います。
基本的なことかもしれず、大変恐縮ですが、よろしくお願いします。

老健から介護医療院への転換について、一般的なメリット・デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
(1)基本サービスのみで比較すると、単価は介護医療院の方が高くなる可能性があります(シミュレーションが必要)。
 例 介護医療院:基本サービス費 Ⅱ型(転換老健相当)要介護3…1,054~1,082単位/日
   介護老人保健施設:基本型 多床室 要介護3…898単位/日
※2021(令和2)年4月現在
参考
介護医療院
https://www.mhlw.go.jp/kaigoiryouin/assets/docs/kaigoiryouin_3.pdf
老健
https://ads.kaipoke.biz/basic_knowledge/law_amendment/2021/longterm_care_health_facility/
(2)平成30年度の診療報酬改定で、地域包括ケア病棟の在宅復帰率の計算において、老健への退院は復帰率の計算から除外されましたが、介護医療院は対象です。これにより、老健の稼働率が落ちている傾向があります。

<デメリット>
(1)人員配置で、看護職員が最低でも6対1の配置が必要。
(2)施設設備として、処置室、臨床検査施設、X線装置などが必要。
(3)Ⅰ型の場合は、医師3人以上や宿直が必要となり負担増。
 一概には言えませんが、現状の人員や設備を考慮して、シミュレーションを行う必要があります。

また参考までに、2023年6月末の介護医療院の開設状況を見ますと、日本全国では794施設・46,848床が開設されています。
転換元の内訳を見ると以下のとおりで、病床数で見ると介護療養(病院)からの移行が最も多い状況です(厚生労働省老健局老人保健課「介護医療院の開設状況について」2023年8月25日)。

◯転換元別開設状況
・介護療養型老人保健施設(転換老健)から:5,104床
・介護療養(病院)から:30,116床
・医療療養(2018年度改定後の療養病棟入院基本料1・2)から:5,362床
・医療療養(2018年度改定後の経過措置型)から:1,548床
・介護療養(診療所)から:733床
・医療療養(診療所)から:297床

回答日【2018.10.23】

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