法人運営

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特定医療法人の理事長の妻が代表を務めるMS法人(当該特定医療法人を主たる得意先とする医薬品、医療機器の卸会社)の番頭的な副社長が65歳を機に退任し、MS法人の嘱託となり、週2~3回の勤務となった場合、当該特定医療法人の理事に就任することは可能でしょうか。「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について」の第一、1、(2)の④にえあるように、経営に影響を与える立場にある理事への就任は難しいでしょうか。

特定医療法人の理事とMS法人の嘱託を兼任する背景や目的が不明であるため、一般論として私見を交えて回答させていただきます。
医療法人の役員を、その取引関係があるMS法人の役職員が兼務することは、ご質問にあるとおり「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について」(平成5年2月3日総第5号・指第9号、最終改正:平成24年3月30日)の第一、1、(2)の④において「原則として兼務していないこと」と記載されているとおりです。
しかし、この取り扱いは医療法等で禁止条項が明確に規定されているわけではありません。したがって、兼務していても、開設者が経営の責任主体であり得て、かつ、営利目的でないこと等が当該課長通知に沿って確認できれば、例外的に認められると考えます。ただし、認可権者は例外に対して厳しい傾向にあると思いますので、実務上は、「事実が判断できる資料収集」を経て兼任にたどり着くのは難しい場合があると思います。
ところで、役員に変更があった場合には「役員変更届書」を提出します。届出ですから事前審査はできません。都道府県が問題ありと認識した場合には自主的に兼任を解くように指導されるのではないでしょうか。

医療法人は「特定」とのこと。特定医療法人は、一般の医療法人と比較して公益性の高さが求められます。特に非同族要件や特別利益供与禁止などが定期提出書類で厳しくチェックされます。その定期提出書類に「法人の特殊関係者が役員等となっている他の法人の明細」を記入して提出する項目があります。ご質問の件はこれに該当すると考えられます。兼任している者に特定医療法人が給与等の支払いを行っている場合、その妥当性が課税当局により厳しくチェックされ、状況によっては特別利益の供与に当たると認定される可能性があると考えます。以上の点から、(私見ですが)兼任するのは簡単ではないと考えます(特に兼任している者に特定医療法人から給与の支給がある場合)。

回答日【2015.2.10】

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